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  • 執筆者の写真LAGS Reporter.SA

試される大地・北海道のランドスケープ

更新日:2021年11月10日





イントロダクション


初めまして。北海道、札幌在住の新米ランドスケープアーキテクト、吉本文香です。

どうぞよろしくお願いします!まずは簡単に自己紹介させてください。



広島県出身で、北海道大学農学部を卒業後、2年間イギリスのシェフィールドという街でランドスケープの勉強をしました。

2021年1月に帰国し、4月から高野ランドスケープという会社で働いています。


趣味は釣り…と言いたいところですが釣りは先日初めてやりました。

絵を描くことが好きです。

行く先々で、時間があればスケッチをしています。よかったらインスタのスケッチアカウントをのぞいてみてください↓



こちらのブログでは、北海道のランドスケープやイギリスでの体験など、楽しく好き勝手に書いていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。


 

目次

‐ わたしの生息域

‐ 北海道のランドスケープ

でっかい農業風景

  雑然とした札幌の街並み

  雪とランドスケープデザイン

‐ さいごに


 

わたしの生息域


広島からどうして遥々北海道にきたのか、よく聞かれます。

北海道に行きたいと思ったのは高校生のとき。北海道大学という響きに漠然と憧れたことも大きな理由の一つですが、一番の理由は、蒸し暑い広島の夏が耐え難かったことです。

そんなことかい!と思われるかもしれませんが、私はアトピー性皮膚炎という慢性の皮膚疾患を持っていて、夏の広島の暑さは、肌の痒みを増大させるので、それはそれは辛いものでした。


動物や植物には生息域があります。生息域の外では、生きていけないか、成長が非常に悪かったりします。

住居や衣服のおかげで、人間は世界のあらゆるところで生きていますが、人間だってそれぞれ生きるのに心地いい場所があってもおかしくありません。私の生息域は北海道なんだ!と思っております。




 

北海道のランドスケープ


でっかい農業風景


北海道大学時代、私はサイクリングクラブに所属して、北海道各地を自転車で走っていました。地元広島では感じたことのないスケール感、空も大地も果てしなく続く北海道の風景に魅了されました。

北海道の農業風景の大きな特徴は、大きく切り開かれた土地が故によく見える起伏と、その中にぽつんと立つ木や、規則正しく並んだ防風林ではないでしょうか。


あまりに農地が広いので、農作業している人は自分がどのあたりにいるのか見失いがちです。自分の居処を知るために、木が植えてあったりします。防風林も、風をしのぐために列植されたものです。それぞれに機能を持ったものが集まって、北海道らしい風景を作っているのだなぁ。手付かずの自然とはまた違うけれど、美しい風景だと思います。




 


雑然とした札幌の街並み


碁盤の目のように開拓されてきた街並みは、どこを見ても似ている景色です。

大学生の時、ひどい吹雪の日に、家のすぐ近くで遭難しかけたことがありました。どちらに進んでも直角に交わる道、吹雪で視界が悪い中では、どの建物も同じに見えました。


北海道の家の形は、大きく変わってきています。昔は雪を落とすために傾斜のある三角屋根が主流でしたが、近年は平屋根で、雪は落とさないのが基本です。

家が密集して建っているので、雪を落とすスペースがないのです。

そのため、新しい住宅地では四角いハコ型の家が立ち並びます。3Dモデルでとりあえずつくった街並み、みたいなものが目の前に広がっている感じです。ときどき見かける古い家は、面白い屋根の形をしていて個人的には大好きです。


もうひとつ、特徴的に感じるのは、北海道の家のカラフルさです。新千年空港から札幌駅までの車窓から見える家々は、彩り豊かなので是非注目してほしいところ。青い屋根に黄色い壁だったり、緑の屋根にオレンジの壁だったり。ライラック色の家も多い気がします。

なんでこんなにカラフルなのか、理由は定かではないですが、冬にはあたり一面真っ白になってしまうので、家々の色は貴重な彩りなのかもしれません。




 


雪とランドスケープデザイン


北海道でランドスケープの実務に携わって半年、北国ならではの難しさを目の当たりにしています。設計の過程で必ず出てくるのは雪の問題です。


除雪車の通り道、雪をどこに投げるのか(「投げる」は北海道弁で「捨てる」の意味)、それによって植物を植えられる場所、施設を置ける場所は限られます。


例えば北海道では、歩道と車道を区切る植栽帯に生垣はまずありません。除雪車は車道の雪を集めて、歩道と車道の間に積み上げていくため、低木は邪魔になる上、植えたとしても雪の重みでダメになってしまいます。


また、建物から雪が落ちてくる場所も、ダメージを考慮する必要があります。

雪庇(せっぴ)といって、屋根の雪がゆっくりと巻き込んでくる現象があります。巻き込んできた雪が建築にぶつかってガラスが割れたり、雪庇の先にある樹木や施設も大きなダメージを受けます。雪の力は凄まじいです。



冬の北海道では、屋外にあるものは基本雪の下に埋もれてしまいます。雪のない地域で育った私からすると、全てが眠ったような、凛とした白銀の世界はそれだけでとても美しいと思います。しかしデザイン提案のときには、冬の魅力は一体なんなのか、どのように屋外を使えるのか、求められることも少なくありません。



雪とランドスケープデザイン、面白く、難しいテーマです。




 

さいごに


ランドスケープは屋外空間を設計する仕事です。屋外というのはコントロールできないことばかり。特に北海道は、日本の他の地域とは全く違う、まさに試される大地です。

だからこそ余計に、その土地で生活し、日々の経験の中で環境を理解していくことの重要さを思い知ります。まだまだ学ぶことだらけの毎日、この新鮮な気持ちを忘れないよう、書き留めていけたらなと思っています。



遠くに見える山々は白く雪を被り、北海道の冬はもうすぐそこです。北海道ならではの、厳しくも美しい冬の風景も、どんどんお伝えしていきます!





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