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U2W Part2 #4

第四回のスピーカーとしてオオトリを飾ったのは、吉尾元子さんです。現在、千葉大学大学院の修士課程2年生の吉尾さんは、2018年から中国の清華大学にてランドスケープを学んでいた経験をお話しくださいました。

2018年2月から中国の清華大学と千葉大学のダブルディグリープログラムで、1年半学び、現在は千葉大学の修士課程で学ぶ吉尾さんです。



今日の内容

  • 吉尾さんについて

  • ランドスケープへの興味

  • なぜ中国へ

  • 清華大学について

  • 修論プロジェクトについて

  • 中国のランドスケーププロジェクトとは

  • 中国のライフスタイルとランドスケープ

  • 中国留学のまとめ

  • 質疑応答

吉尾さんについて



  • 工学院大学建築学部 篠沢研究室卒

  • 2018年2月末〜2019年7月の期間で中国北京 清華大学に留学

  • 現在は、千葉大学大学院園芸学研究科 霜田研究室 在学中

  • 趣味は旅行、美味しいお酒とご飯を食べること







ランドスケープへの興味となぜ中国へ

-幼少期のランドスケープへの興味

原風景、舗装が行き届いているところよりも、自然の風景が好き。

落ち葉をふむ音が好き。五感を使って遊ぶことを幼い頃から自然とやっていた。


建築学部への進学


公園が作りたいと思い、建築学部へ進学。学部時代、美術館や幼稚園の設計は楽しいと感じていた。が、授業でランドスケープに出会い、大学でしたかったことはコレだ、とふと我に返る。そこで卒業制作もランドスケープ系で行った。 幼少期の原体験や原風景の分析を元に、文京区の崖線と周辺の公園をつなぎ、子供も崖線に引き込むデザイン提案をした。


大学院進学


ミクロからマクロスケールまで広く、ランドスケープデザインを学びたくなり、千葉大学大学院園芸学研究科へ進学した。


中国留学のきっかけ


中国人留学生が多く、その魅力に引かれる。彼らの課題解決への無駄のないパワーとスピードに

圧倒される。パワフルな中国人学生がどのように教育を受けているのか、興味があったし、きっと厳しいであろうその環境の中に身を置くことで自分を追い込みたいと思った。また、中国人学生のデザインのプロセスや考え方を学ぶことは、中国で様々なプロジェクトが増えている中で、今後、必要不可欠なのではないかと考えた。

留学経験のある友人からの勧めもあり、どうせ留学するなら、長期がいいだろうと考えていた。奨学金も充実していたから、可能だと思ったし、中華料理も好きだった。ちなみに吉尾さんはチームメイトだった中国人留学生に作ってもらった火鍋で虜になったそう。

-留学先となった清華大学

千葉大学との提携校で、ダブルディグリープログラムで留学をしていた。留学の候補となる提携大学は他にもあったが、長期の留学となることを考えると、直接大学を見てから決めたいと思い、先生方の出張に便乗して、実際に行ってから決めることにした。広大なキャンパスや現代の社会問題を取り扱った設計課題が多いこと、留学生の多さなど、多様な環境に魅力を感じ、清華大学への留学を決心した。

清華大学について

広大なキャンパス


東京ドーム84個分の広大な敷地はまるで一つの街だと言われるほど広い。

全寮制で、敷地内に5万人前後の学生と4千人近くの教職員が住んでいる。スーパーや病院、美容院、銀行などもあり、生活に困らない。食堂は学内に11箇所もある。またフォーブス誌の「世界で最も美しい大学キャンパスランキング」にアジアから唯一ランクインするほど、建築がすごいと言われている他、カフェ、図書館などの学習環境も充実している。



校訓とスローガン

「自らを向上させることを怠らず、人徳を高く保ち、物事を成し遂げる」という校訓と「No Sport No Tsinghua(スポーツなしには清華を語れない)」という スローガンの下、文武両道を目指す大学。実際にはスローガンに従ったというよりは、膨大な量の課題に追われる中でリフレッシュのために運動をせずにはいられないほどだった。吉尾さんもクラスメイトや先輩達とバドミントンを楽しんだそう。



キャンパスと周辺の様子

リラックスできるオープンスペースも多くあり、学生はリフレッシュの時間をしっかり取っている印象があった。庭園もあり、学内外からの訪問者がある。紅葉も綺麗で、撮影スポットが構内に点在している。広い学内の移動は自転車で行うことが多い。キャンパス周辺は歴史・文化的なエリアに加え、商業施設、飲み屋街の多い現代的な学生街のエリアもあり、充実している。


留学プログラム


ダブルディグリープログラムでの留学をしたので、千葉大学と清華大学の2つの大学で、それぞれ学位を取得する予定(清華大学のMSE(Master of Science in Engineering)と千葉大学の(Master of Arts))。ダブルディグリーの取得条件は決められた単位数の取得と修論もしくは制作を行うこと。多くの学生が1年間、清華大学に通い、帰国後に修論や制作を行うが、指導教員が多忙で、帰国後、十分な指導が受けられるか不安だったため、急遽、留学を半年延長して修論を執筆。

また留学中は、中国政府奨学金とJASSO海外留学支援制度奨学金(文部科学省によるキャンパスアジア枠)の奨学金を利用していた。中国は物価が安いため、奨学金の受給金額内で、不便なく、生活できた。


清華大学での授業と修論プロジェクト

受講した授業カリキュラム


春学期:Landscape Planning Design Studio、Construction Technology、中国語

秋学期:Landscape Design Studio、中国文化、学術活動(外部講師の講義レポート)


スタジオ内で、中国やヨーロッパの大学を交えた国際ワークショップ(以下、WS)があるのが特徴。



秋学期のスタジオ内の国際WSは青島と北京、スペインのバルセロナへも渡航。 

初めの青島(潍坊ウェイファン?)のでのワークショップで扱った対象地のデザインをWS後も扱っていった。

対象となったエリアは以前、日本とドイツの植民地であったことから、中国、日本、ドイツのそれぞれの様相を含んだ建築が点在する場所。wsではチームメイトと、当時の遺構などが残る街を歩きながら、敷地分析を行った。WSの最終成果物は全て手描きのスケッチで提出し、対象地の中から複数箇所をピックアップしてデザインの提案を行った。

青島から清華大学へ戻り、同じ敷地を再度Planning Designをした。



Planning Design終了後、バルセロナへ。

授業課題との直接の関わりはないが、デザインアプローチを勉強するWSだった。スペイン郊外(バルセロナの西側)のアルトペネデスが対象地。廃倉庫エリアとその周辺をブドウ畑が囲む場所だった。敷地分析の傍、美味しいワインも試飲も。


敷地分析からコンセプトモデルを作ることから始まり、これまで分断されていた廃倉庫エリアとブドウ

畑を繋ぐデザインを提案した。



スペインでのWSでは、成果物の作成に対する中国人学生とヨーロッパの学生の設計プロセスの違いに驚いた。清華大学からの中国人学生は、新たに追加する機能の配置に着目したのに対して、ヨーロッパの学生は、敷地に行った時の印象から空間をイメージし、系体的にデザインを始め、機能は後から決めようとしていた。これは中国のプロジェクトが経済発展に伴い、猛スピードで設計が進んでいくため、設計完成に直結するようなことから考え始めることが中国では求められていることの結果なのではないかと思う。



バルセロナから大学へ帰国後、Planningからデザインへの設計段階へ移行。チームで対象敷地を分割し、個人ワークになった。それにより、個人個人により詳細なパース、デザインが求められるようになった。日本ではそこまで詳細にデザインを詰めたことがなかったため、先生の要求に応えるのに苦労したが、日本ではできないことが経験できたと思う。内容が盛りだくさんなスタジオだった。6単位。




Construction Technology(景観技術)の授業

学内庭園の実測調査、樹木位置、樹種の調査を行った。中国のGISアプリを利用して実測経路などを記録しながら、図面に起こして行った。

事例調査:模型作りで空間の把握をしたのち、その事例を分析していった。

最終プレゼン:座学で学んだことを参考に公園設計。

2単位の科目にしては、内容が盛り沢山で課題が多い授業だった。




清華大学での授業を通して


中国の設計課題の内容は、急速な経済成長や発展がもたらした都市と農村の格差(インフラの不足)、土壌汚染や空気汚染などの問題をランドスケープデザインで解決する授業が多く、コンセプトの面白さよりも即戦力が求められることが多いと感じる。授業数や課題の多さから、スピード感を持ってプロジェクトに取り組むことを特に訓練される。また国際WSなど、千葉大も含め、海外大学との交流が非常に多い。


修士論文/制作


プロジェクトのテーマは、指導教員のプロジェクト、自分が仕事で参加したプロジェクト、自分の興味のある内容から選ぶ人が多い。論文の内容は、プロジェクトへの参加に加え、さらにデザインもできると良いとされている。国家プロジェクトに参加できる機会も多く、複数の教授達(研究室)がチームを組むことも多い。先生の事務所に行くことで、事務所の他の社員からも指導が受けられる。プロジェクトに参加すると給料も支給される。

吉尾さんは、指導教員のプロジェクトを選択し、2022年冬季オリンピックのプロジェクトに参加した。対象地はShougang(首钢)で、経済発展を支えてきた工業跡地で、この地域をオリンピック招致をすることによって再度発展させることを目指している地域。

論文では、競技施設や過去のオリンピックの事例分析を通して、オリンピック開催前後において競技施設内外の機能配置が経営や観光にどのように影響するのかを研究し、それらを元にオリンピック開催前後の状況に対応できるデザインを提案した。




中国のランドスケーププロジェクトとは

Shougang Park(北京)

中国のランドスケープでは、在来種である柳を置くことが多く、特徴の一つだと思う。


789芸術地区(北京)

工業跡地も多い。中国の経済発展を大きく支えてきた一方、甚大な大気汚染などの環境問題を引き起こした場所でもある。オリンピック招致を機に、北京は都市計画を改め、都市の緑化をハイスピードで進めている。そのため、このように工業遺産をランドスケープデザインが扱う場面も今後増えていきそう。


上海でのインターンシップ


夏休みの期間中、1ヶ月、TOAという事務所でインターンをした。教育施設のデザインに携わったり、竣工したばかりの設計地を訪れたりした。中国では大きなプロジェクトが多く、自由にデザインできることが多いように感じる。



中国のライフスタイルとランドスケープ

中国での生活

留学当初は、安全なの?食べ物は大丈夫?という友人からの心配も多かった。実際のところ、住む場所をきちんと選べば、そのような問題は全くなく、和気藹々としたルームメイトとの寮生活を楽しんだ。国際寮でも、必ず中国人学生がルームメイトになるため、日常的に中国語を話す環境があり、よく助けてもらっていた。また、各フロアの共用スペースでは他の留学生との交流もあった。寮内では、自主的にいろいろなイベントも行われており、キッチンで日本食、中華、など各国の料理を振る舞いあってパーティーをすることもしばしば。春節が近づいた頃には、習字を習ったこともある。

学内イベントも多く、特に先生方を敬う文化があり、teacher's dayと呼ばれるイベントや先生の誕生日を祝うようなイベントもある。スポーツイベントも多く、中でもマラソンに力が入っている。清華大学の最初の2年は決まった距離を走り切らなければ、進級できないという制度があることもあり、みんな長距離ランに慣れているそう。吉尾さんも卒業ランに参加し、しっかり走りきったそう。

また、ランゲージパートナーのシステムにも助けられた。ランゲージパートナーになってくれたのは、日本語学科の博士課程の学生で、日本語が堪能だったので、中国語も教えてもらっていた。

中国の食文化が体に合っていたので、たくさん利用することはなかったが、学校の周辺にも日本食レストランはあり、出前なども可能だった。



中国人の国民性

日常生活の中で、北京人は(仲良くなると)特に人情深く、フレンドリーであること、良い意味で人の目を気にしないこと(年代にもよる)、日本と比べて中高年がパワフルで、公園の健康器具も多く、よく使われていることに気づいた。

広場があればダンスをする。中高年が若者に教わる場面も見かける。

吉尾さんも、混じって一緒に踊ったこともあるそうで、違和感なく受け入れてもらえた体験から、広場での活動によってコミュニティの輪が広がっていく可能性を感じたそう。


日本では公園の使い方が定まっていなかったり、用途が制限されていたりすることも多いが、中国では、公園やちょっとした広場が本当によく使われている印象だった。そういった場面を実際に目にして、ランドスケープアーキテクトとしてデザインしたベンチが利用されるのは嬉しいだろうな、作った場所をとことん使ってくれているのを見ると、ランドスケープアーキテクトとしてのやりがいに繋がりそうだと感じたそう。


北京の都市


北京の中心地は、中心軸を文化財にしようとする動きがあり、建物の高さ制限などがかかっていてまち並みの整備が進んでいる。歴史的な建築だけでなく、有機的な建築も多い。




1区画がとても大きいというのも特徴で、北京出身の友人と話していると、”近く”の感覚の違いに気づいた。”近く”にあると言われたお店がタクシーで30分かかる場所だったこともあり、驚いた。


生活インフラの特徴


シェアバイクやタクシーが必須。地下鉄やバスなどもあり、公共交通機関だけでなく、タクシーの運賃も安い。

また、スーパーや飲食店、レンタサイクル、コインランドリーなど、なんでも電子決済。最近では顔認証がOKのものも増えてきている。

連絡は基本時にwechatを使っていて、先生たちともwechatで連絡をとる。先生からのレスポンスもめちゃくちゃ早い。


食生活の特徴

食品が安いがコーヒーは高い(スタバとランチ一食が同じくらいの値段)。タピオカドリンクなどお茶ベースの飲料は安い。

朝ごはんを外で食べる家庭が多いため、朝からオープンしているお店も多い。

お祝い事の時は火鍋を食べることが多く、グループワークの打ち上げは、だいたい火鍋だった。

干杯文化と呼ばれるお酒の飲み方も体験。飲みたいときに毎回乾杯してから飲むというのが干杯文化。

吉尾さんは、日本とは違う食生活も経験したそうで、羊肉やカエル、ザリガニも食べる文化があり、カエルはオススメだそう。



中国留学のまとめ、吉尾さんからのメッセージ


近年、中国に関して国家間の政治や一部の中国人観光客のマナーなど、メディアでは色々な報道がされるが、メディアで取り上げられる中国というのは本当に一部だと思う。報道される部分だけではない、中国の良さを少しでも伝えたい。

中国留学は特に、自分を追い込みたい、即戦力を培いたい、大規模、脱工業化、農村部と都市部の格差解決等のプロジェクトに取り組みたい、英語と中国語を同時に身につけたい、運動が好き、中国料理が好きという人にオススメだと思う。


質疑応答

Q.自分も中国の北京や上海など大きな都市で働いた経験がある。北京と上海でも大きく違うように、きっと中国内の大学も色々と違うと思う。だから清華大学の先生の人数やスタジオの様子、プロジェクト、学生の先生からの指導時間、指導方針など、日本の大学との違いも含め、聞いてみたい。(Fさん)


A. ランドスケープ学科は4名の教授、准教授、助教が3〜4名ずつ、さらにポスドク数名がいた。一つのスタジオの授業に3名の教授が参加するのに対し、学生はおよそ20名で、5チームに別れ、グループワークすることが多い。授業中の各チームのプレゼンテーションでは、スタジオの先生と1人のチューターが熱心に指導をするので、1チームに20分くらいかかることもあった。

プロジェクトは、その依頼先によってチームの編成が異なる。学校に依頼が来た時は、学科内の研究室同士でチームを組む。一方、先生個人の事務所に依頼が来た場合は、その先生と研究室のメンバーでチームを組んだり、先生の研究室に興味のある学生がインターンとして雇われてチームに入ったりする。

先生からのレスポンスの速さに関して。自分が卒業した時には、卒業生が例年の3〜4倍いたこともあり、修論に関しては、すぐに返事がもらえるという訳ではなかったので、どうしても話をしたい時は、授業終わりに先生の元へ通って時間を作ってもらう学生も多かった。プロジェクトに関するレスポンスは速いことが多い。



Q. 中国のランドスケープ学科では、来週までにこういう画像を3枚、次の週には3Dモデルを作って来るように、などという風に毎週の課題が明確に提示され、それに沿って学生が進めていくというのが中国式だと聞いたことがあるが、実際はどうだったのか?(Nさん)


A. そこまで明確に先生から指示されることはあまりなかった。しかし、大学院に進学している同級生がペースを把握していた。ペースが遅いと指摘されることもあった。また、詳細のデザインが必要なスタジオに参加していた時には、それに関するアドバイスを受けることはしばしばあったが、実際にどうデザインするか、どう進めていくか、ということは学生次第だった。


Q. 授業は中国語がメインだったのでしょうか?中国語は学ばれましたか?(Nさん)

A. 授業は中国語メインだった。中国にいく前は、日本語でいう、アイウエオしか知らず、留学直後はテンションと自分のハートで乗り切った。中国語の授業も受けたが、あとは中国語の検定

などを目標にしながら、自分で勉強した。大事なことは、臆せずに中国人と中国語で話すこと。グループワークの中で中国語を学んでいったと思う。グループワークの中で、分からなかった言葉はその場で聞くようにした。、チームメイトもそれに関してとても協力的だった。また、中国の若者言葉を学んで使っていくことで会話も弾んだ。

入学の際には中国語の試験がなく、留学できたことがラッキーだった。LAの分野での日本からの留学が珍しかったこともあり、ウェルカムだったので、試験はなかった。逆に、日本にくる方がハードルが高い。


C. 卒業研究についてお話されていた時に、中国人学生の"制作スピードの速さ"について言及されていましたが、清華大学の制作要領に優れた学生のデザインスタイルや人間そのものにどのような特徴がありましたか?

またASLAアワードに出てくるクラスの学生の卒業後の進路はどのような傾向があるのか教えて下さい!

リサーチベースな印象も強いが、そのリサーチ能力はどうやって得ているのか?

(Iさん)


A. ASLAアワードに出てくる人は、清華大学の学部出身でそのまま院にきた人。そしてそのまま博士課程、大学に就職する人もいる。指導教員と密にコミュニケーションを取っている。先生の設計事務所に入り浸っている印象。 先生の授業をちゃんと受けて、吸収する事が大事なのでは?建築学院の景観系に在学している人は、大半が他大学から進学して来た人。実務経験のある人も多い。

無駄なことをしていない、メリハリをつけて行動している気がする。全部やろうとすると難しいが、うまく取捨選択していること、それが作業スピードにつながっていると感じる。

毎回、全てのパワポを100%で作らない。最後の大事なプレゼンにはトップスピードで攻め込み、ベストパフォーマンスをするのが強み。


リサーチに関しては、個人の興味にもよるが、学校内ではGISの使い方などの指導もある。さらに全寮制なこともあって、共同生活の中での情報交換も多い。教授のプロジェクトに積極的に参加していく事でソフトの使い方を学んでいく様子も多い。


C.競争社会。ストレスでしんどそうだけど、小さい頃からそういう環境で育っている。

人生がかかっている分、覚悟が違う。その中で、スポーツなどの楽しみを見つけたり、即戦力になるような学校の環境があったり、サポートもあって良い環境かも。(Tさん)



C. スポンジシティなど、中国は環境問題の解決を意識した提案が多い印象を持っていますが、大学内でよく議論にあがるテーマはどういったものだったのでしょうか?(Nさん)


A.  planning studioでは、都市部と農村の格差問題解決、環境改善などが議題に上がった。対象地は、スマートシティーを目指す開発エリアの隣の広大な湿地帯をもつ農村部。未だにインフラ整備が不十分で、大量のゴミが湿地帯に流れ出ている状況にある。私たちの班は、湿地帯にあるアシやヨシをバイオマス発電に利用し、農村部のエネルギーを自分たちで賄い、同時に湿地帯の環境も改善していくことを提案した。先生たちからは、金銭面で、その提案が実現可能なのかを何回もつっこまれた。中国のスタジオでは、より現実味のある提案が求められていると感じた。


Q.  中国人の物の見方・文化の違いがデザインの違いとしてどのように現れますか?日本人や他の国とのデザインにおける違いが気になります。あと、教えていらっしゃる先生方のバックグラウンドも教えていただければ嬉しいです。私が日本に帰ったらバドミントンしてください。(Kさん)

A.中国のコンセプトで風水や中国庭園の要素が用いられる事が多い。風水や龍(中国では最も位の高い)のモチーフをデザインに使っていたり、ストーリー作りのために使っていたり

先生の半分は海外進学、就職(特にアメリカ、ハーバードのGSDが多い)をしていた海外経験が豊富な人と元々北京林業大学を卒業した先生の半々くらい。ランドスケープ学科だけでなく、建築学院全体を見ても、アメリカでの経験がある人が多い。


C.清華大学にランドスケープ学科ができたのが、北京オリンピックの頃。中国には園林系(日本だと農学部系)と景観系(建築とランドスケープの中間くらい)の大きく、2大派閥がある。そういった意味では、景観系はアメリカの学校と似ているのかも。(Fさん)



Q.清華大学へのランドスケープや建築系の留学生はヨーロッパ系、アジア系(特に日本人)はどのくらいの割合でいらっしゃいましたか?また、どこかで働いてから留学してきている方はいらっしゃいましたか?教えていただきたいです!(Mさん)


A.  建築学院の中の景観系への留学生は私一人だったが、清華大学全体で見れば、ドイツ、韓国からの留学生が多い。日本人の社会人留学生はMBAが多い。

C.昔、日本の経済が良かった頃は、会社からの支援で、留学できるような体制も多く、そういった形で留学していた人も多かった。最近は、少し減ってはいるが、そういったサポート体制も重要だと思う。



C. プロジェクトベースの進み方やワークショップ付きのスタジオの進み方、とても面白そうでした!バルセロナでのヨーロッパの学生とのプロセスの違いも興味深かったですが、ヨーロッパの学生はWSのみの参加だったのですか?(Aさん)


C. 基本的にヨーロッパの学生はWSのみの参加。最終成果物は中国人学生と仕上げていった。しかし、特任教授のような形でヨーロッパのWSに参加した先生がWS後、一緒に中国へ帰国しているので、スタジオの最後までヨーロッパの学びを生かす事ができた。

渡航費、滞在費等も大学でカバーしてもらえるので、とても魅力的なスタジオだった。

C.日本では、国際交流をするに当たっても、金銭的な面、受け入れ体勢を整えるための設備等の準備も必要になってくるので、なかなか進むのが遅い現状がある。(Fさん)



Q.シェフィールドも中国人留学生がとても多くて、みんな本当に優しいので、そういった人に出会って中国への印象が大きく変わりました。中国とヨーロッパのデザインアプローチの違いは今思えば確かに!と思いました。中国人の友人は、イギリスの課題量の少なさ、時間に余裕があることに驚いていました。

それから、中国人の友人が、急激な発展でつくるばかりで、マネジメントの問題があると言っていたのですが、何か感じたことがありましたか?(Yさん)


A. 新しいものが多くできているが、できたからといってプロジェクト終了後、何度も現場を見にいくことはなかったように思う。

イギリスだと、community involvementにつなげるようにプロジェクトが多いが…(Yさん)

メルボルンで、中国人のプレイスメーカーで、ボトムアップの事例を聞いたことがあるので、中国でもあるのかもしれない。日本だと、公園は使われずに朽ちていくという事例があるが、中国だと使われて朽ちていくのかも。(Tさん)

日本では公園の使用に関して許可がいることもあるが…(Nさん)

有料の公園もあるが、基本的には自由に公園を使う事ができる。太極拳などを行う際は、時間帯で区切られていることも。(Kさん)



Q.清華大学へ留学したのは、中国人留学生の存在に由来するとおっしゃっていましたが、留学の決意をしてからどのような準備を行なっていましたか?

また何を自分なりの強みとして戦いましたか?(Yさん)


A. 9月に実際に中国に訪問し、2月に渡中。渡中までに、中国語などを学びたかったが、ビザや留学制度への申請に時間に取られた。

自分の強みは、行動力だと思っている。留学当初、手違いで、あなたはダブルディグリープログラムの留学生ではなく、ただの交換留学生と言われたこともあった。それでは奨学金は愚か、ダブルディグリー、寮生活さえも厳しくなると思った。そこで自分から事務などに積極的に声をかけていったりした。



準備というより、マインド、パッションが大切?(Yさん)

留学生の中には、中国にどうしても馴染めずに、寮の中にいることが多かったり、日本人同士で過ごすことが多い人もいたが、せっかく海外留学をしたなら、殻を破って踏み出すことが最初の一歩として大事だと思う。実力はその後からついてくると信じているので、マインドがやはり大切!



ライター赤山より

 

留学と聞くと、どうしても欧米への留学をイメージしてしまいがちですが、今回の吉尾さんのプレゼンテーションで、中国への印象が大きく変わったというリスナーが、私を含め、多かったのではないかと思います。U2Wに参加する中で、各大学による授業の特徴は様々あるのだなぁと毎度、発見がありましたが、今回は国際ワークショップでヨーロッパにまで行ってしまうというスケールの大きさに圧倒されました。そして大学からの経済的なサポートも充実しているということで、とても羨ましいなと思いながら、聴いていました。

 急速な発展に伴い、多くのランドスケーププロジェクトが動く、激動の中にある中国の中で、様々な経験をされた吉尾さん。その熱いパッションと行動力を感じ、本当に濃密な1年半を過ごされたんだろうなと感じました。今回のプレゼンテーションは、これから留学を考えている方にも、さらなる可能性や勇気を与え、さらに中国のランドスケープの動向にも目が離せないと、再確認させてくれる回だったのではないかと思います。

 U2W Part2最終回。私自身、毎週末の楽しみだったので、最終回が来てしまい、非常に名残惜しいですが、 Part3のスタートを楽しみに待つこととします。  

赤山紗也果




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