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初学者から上級者まで ランドスケープを学ぶための本 45選

更新日:2022年10月19日






ランドスケープアーキテクチャは都市、建築、社会基盤、造園、生態学、林学など様々な分野が混ざり合う考え方であり、何から勉強したら良いのか分かりにくい分野でもあるように思います。

私も日本で大学生をしている際、どの本をどの順で読んだら良いのかが分からずかなり困った記憶があります。

本記事では、先日「ランドスケープを学びたい人の井戸端会議」で行われたオンラインカフェにて挙がったランドスケープの勉強のための本を目的別に整理し直したブックリストを紹介いたします。


基礎に挙げた本は初学者にも読みやすいかと思います。 応用では、都市や建築など、どの立場からランドスケープを見たいかによって読む書籍の優先順位を考えて本を読んでもらえたら良いのかな、と思います。

ランドスケープの勉強の参考になったら幸いです。


目次














 

初学者向けの書籍

まずは初学者向けの書籍を紹介いたします。

ランドスケープアーキテクチャとして設計ができる力をつけるための書籍を選んでおります。後の章で、『Design with Nature』などランドスケープアーキテクチャの根本的な考え方を記した書籍もありますが、設計の技術を身につけ、ある程度ランドスケープという分野の大枠を掴み、実際に設計をしながらそれらの理論的な書籍を読むという風でも良いのではないかな、と思います。




ランドスケープの基礎的な概念・歴史の本


基礎的な書籍として英語の書籍を2冊紹介させて頂きました。どちらも、イラストの多い本なので意外とすんなりと内容が入ってくるのではないかと思います。多少ハードルを感じても頑張って手に取ってもらえると良いのではないかと思います。生態学(応用)の方に挙げた書籍は基礎的な生態学の考え方を丁寧に紹介しており、こちらの項の2冊目の『landscape ecology principles in landscape architecture and land-use planning』は、その考え方を空間的にどう昇華するかの基本的な考えが紹介しております。基本的に言っていることがかなり近いですが、設計に繋がる考え方が直感的に分かりやすいのはこちらの書籍かなと思います。


(同様の内容の日本語版が出版されると日本のランドスケープ教育ももっと盛り上がるのかもしれませんね。。。)






 

設計者としての基礎技能習得の本


こちらの項では、図面の書き方や樹木の選び方、スケッチやデジタルドローイング、ポスターデザインの基礎的な考え方がわかる書籍を紹介しております。『Landscape Graphics』は図面や立面図の描き方や簡単な手描きのダイアグラムの描き方が分かる本です。ランドスケープを学ぶ人が一度は通る本かと思うので購入をおすすめします。 『クイズで学ぶデザイン・レイアウトの基本』は、グラフィックデザインの本ですが、デザインとは何かを考えさせられる良い書籍でした。初学時にぜひ読んで欲しい一冊です。

またイラレ・フォトショ等のアプリケーションは、実際にちょっとしたコンペなどに参加して使いながら覚えるのが早いので逆引き式のものを使うのがおすすめです。





 

海外でのランドスケープの勉強・仕事に関する本


ランドスケープの分野で海外大学院に留学したり、設計事務所で働くことを目指されている方も多いのではないかな、と思います。海外でランドスケープの勉強・仕事をされている方の経験をまとめた本やウェブサイトを紹介させて頂きます。こちらのブログの母体となっているFavebookグループ「ランドスケープを学びたい人の井戸端会議」でも時々、ざっくばらんにランドスケープについて話す会や無料の留学相談会などを行っているので気軽にご参加ください。





 

ランドスケープ事例に関する本

事例から学ぶことは非常に多いので、ぜひ『LANDSCAPE DESIGN』など事例を紹介する雑誌やウェブサイトに触れる事をおすすめします。自分が好きだと思ったランドスケープアーキテクト・建築家の作品集を読み漁るのもとても良いと思います。建築雑誌『a+u』でもランドスケープに関する特集がたびたび組まれています。建築との垣根を超えてランドスケープを学ぶのにとても良い本かと思います。





 

応用的な理論・概念・技術に関する書籍

ここからは多少応用的な内容の書籍を紹介していこうと思います。

概念的・理論的な書籍が多いので少し読みづらいかもしれませんが、提案の深みに繋がっていくと思います。ぜひゆっくりと挑戦してみてください。



ランドスケープの定義・概念・文化に関する本


ランドスケープの定義や概念、考え方自体に関する書籍をまとめてみました。 (どの書籍でも必ず触れるテーマだと思いますが、より概念的な向き合い方をしている書籍を集めてみました。)井戸端会議のオンラインカフェで、オンサイト計画設計事務所の長谷川浩己氏や慶應義塾大学の石川初教授など、日本のランドスケープアーキテクチャを牽引されている方々の書籍が取り上げられました。また、『景観用語辞典』や『風景学入門』は、景観に関わる「視点」や「視野」などの用語の定義が整理されており、定義が気になる人におすすめの本です。また、ランドスケープアーキテクチャの場所性やコミュニティに関する書籍としてアメリカに留学中のメンバーより『Speculative Everything』と『Design as Demogracy』を紹介して頂きました。






 

造園とランドスケープに関する本


造園とランドスケープは個人的には強く繋がっている分野だと認識しています。特に日本庭園の考え方は現代的なランドスケープにも生かされる部分がとても多いと思います。ぜひ『造園学概論』や『作庭記』を読み、様々な庭を訪れると良いと思います。Phaidonから出版されている『The Garden Book』は世界中の有名な庭を網羅した素晴らしい一冊でした。有名事例を学ぶのに非常に良い本です。





 

生態学とランドスケープに関する本


生態学とランドスケープもまた、つながりの強い分野ですが、異なる場所では異なる生態系があるため大学の勉強や仕事の中では、対象地について詳しく調べる際に生態系についても調べ、それに沿った提案を行うということが多かったです。生態学一般の理解を深めるのには『保全生態学入門』、生態学的な考え方をデザインに落とし込む事例について詳しく知るには『Constructed Ecologies』がおすすめです。『景観生態学』はその両者を日本の事例を交えながら学ぶことができる本とのことです。







 

環境心理学とランドスケープに関する本


環境心理学は空間内の要素がどう人の心理に影響を与えるかという学問です。 なぜランドスケープアーキテクチャが必要なのかという問いに対して生態系への寄与やグリーンインフラとしての機能ももちろん大事ですが、人の心理に寄り添った答えを探そうとした時にこの分野に行きつくのではないかと思います。





 

都市とランドスケープに関する本


より大きなスケールでランドスケープアーキテクチャを考えたいとき、以下の書籍がおすすめです。『明日の田園都市』、『都市のイメージ』、『パタン・ランゲージ―環境設計の手引』、『Design with Nature』、『アメリカ大都市の死と生』はランドスケープ・都市計画分野で必ず名前を聞く本ですのでぜひ一度一度目を通されると良いと思います。『ランドスケープアーバニズム』や『クリエイティブ都市論』など現代から未来の都市論を考える書籍も加えました。また近年、世界中の様々な都市でコミュニティガーデンやクラインガルテンとして実践されている都市農の考え方について記した『まちを変える都市型農園』も紹介させて頂きます。





 

建築とランドスケープに関する本


建築の空間設計の考え方はランドスケープアーキテクチャの設計をする上で参考になることが非常に多いです。私も最近、色々な建築を見て回ったり、書籍を読んだりして勉強中です。

特に内藤廣氏の『環境デザイン講義』は日本の建築のランドスケープ的発想が感じられる良い本でした。今後、建築分野をもう少し勉強し紹介できる書籍を増やします。




 

テクノロジーとランドスケープに関する本


近年、ランドスケープアーキテクチャの分野でもIT等の技術をどう提案に取り組むか、またデザインプロセスに組み込んでいくかということが議論されています。技術という視点から未来のランドスケープアーキテクチャを考えるのに良い本を紹介させて頂きます。

特に「Landscape Architecture and Digital Technologies」はサイボーグランドスケープなど技術とランドスケープに関する理論の最先端に触れられるおすすめの本です。






 

おわりに


私を含めた井戸端会議のメンバーがオススメするランドスケープに関する本を40冊紹介させていただきました。

結構な量になってしまいましたね汗

冒頭にも書きましたが、ランドスケープという分野はどう勉強したらよいかがはっきりせず、またその広さに気圧されそうになってしまいがちです。しかし、まずはこちらのブックリストの基礎の書籍に読んでから、焦らず応用的な書籍に挑戦していければ良いのかなと思います。ゆっくりと頑張っていきましょう。






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